森の芸術祭 晴れの国・岡山|奈義/奈義町現代美術館周辺エリアと鏡野/奥津エリアの作品を紹介

奈義町現代美術館(通称NagiMOCA/ナギ・モカ) アート

先日、岡山県で開催されている「森の芸術祭 晴れの国・岡山に行ってきました!
(「森の芸術祭」の概要については最後にまとめております)

この記事では全ての会場のうち、奈義/奈義町現代美術館周のエリアについてご紹介してまいります。

奈義/奈義町現代美術館周辺エリア

奈義町は岡山県北東部の鳥取県との県境の勝田郡に属する町です。町名の由来となった那岐山(なぎさん)を含む「氷ノ山後山那岐山国定公園」が北に広がっています。

こちらのエリアでは、奈義町現代美術館内(通称NagiMOCA/ナギ・モカ)、屋内ゲートボール場の「すぱーく奈義」が作品展示場所になっています。奈義現代美術館が面する南北の道「シンボルロード」に森山未來氏の企画イベントがありますが、そのアーカイブ映像をナギ・モカ内で見ることが出来ます。

ちなみに私は奈義現代美術館に以前訪れたことがあり、常設作品について写真等アップしておりますので、以下の記事も参考にしてください。森の芸術祭期間中にももちろん一緒に見られますので、ぜひ鑑賞してください!

屋内ゲートボール場「すぱーく奈義」

すぱーく奈義

レアンドロ・エルリッヒ【まっさかさまの自然】N13-a

レアンドロ・エルリッヒ Leandro Erlich

建築家一家の家系で育ったというバックグラウンドを持つレアンドロ・エルリッヒ。

日本において金沢美術館の「スイミング・プール」、瀬戸内国際芸術祭の舞台女木島の「不在の存在」などの作品が見られます。

今回すぱーく奈義内に広さ300平米の森のインスタレーション「The Nature Above」を展開。天井にトラス構造を採用し、柱のない巨大な内部空間を持つこの会場を2023年9月に視察したことがきっかけとなり、エルリッヒは見過ごされがちな自然の風景に再び目を向け、その重要性を強調するための本作品を構想した。森に囲まれた吊り橋を渡る鑑賞者の頭上、天井からは300本の木々が真下に吊るされる。さらに吊り橋の下の鏡が空間を反転させることで、浮遊感に包まれる空間が広がり、自然の原初的な存在が新たな視点で浮かび上がる。

会場内パネルより抜粋、一部改変

レアンドロ・エルリッヒ【まっさかさまの自然】N13-a-1
レアンドロ・エルリッヒ【まっさかさまの自然】
ゲートボールコートから見た外観。

レアンドロ・エルリッヒ【まっさかさまの自然】N13-a-2
レアンドロ・エルリッヒ【まっさかさまの自然】
中央の吊り橋。渡れます。

レアンドロ・エルリッヒ【まっさかさまの自然】N13-a-3
レアンドロ・エルリッヒ【まっさかさまの自然】
出入口のスロープ。

奈義町現代美術館(通称NagiMOCA/ナギ・モカ)内

奈義町現代美術館(通称NagiMOCA/ナギ・モカ)
奈義町現代美術館(通称NagiMOCA/ナギ・モカ)外観。

坂本龍一+高谷史郎【TIME-deluge】N12-e

坂本龍一 + 高谷史郎(ダムタイプ) Ryuichi Sakamoto + Shiro Takatani

1999年に坂本の初オペラ作品「LIFE」で初めてコラボレーションを行って以降数多くのメディアアートやインスタレーションを共同制作している二人による作品。

今回は「TIME」にもとづいたビデオ&サウンドインスタレーション「TIME-dēluge」を奈儀現代美術館内の大地の部屋で展開する。水の氾濫をハイスピードカメラで捉えたスローモーション映像が、穏やかな水盤の上に設置された高さ2メートル、幅6メートルのLEDビデオウォールに映し出され、2018年に逝去した能楽笛方藤田流十一世宗家、藤田六郎兵衛の笛の音が鳴り響く。それは同空間の宮脇愛子のステンレスワイヤーの弧の連なりと共鳴し、観る者を芸術と自然についての内省へと誘う。

会場内パネルより抜粋、一部改変

坂本龍一+高谷史郎TIME-deluge-N12-e-1
坂本龍一+高谷史郎【TIME-deluge】

坂本龍一+高谷史郎【TIME-deluge】N12e-2
坂本龍一+高谷史郎【TIME-deluge】とAKI INOMATA【昨日の空を思い出す】(手前のガラス作品)

AKI INOMATA

2008年、東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻を終了。デジタルハリウッド大学大学院特任准教授、早稲田大学嘱託研究員。
代表作「やどかりに『やど』をわたしてみる」(2009~製作中)は、ニューヨークなどさまざまな都市を模った透明な「やど」をやどかりに渡し、やどかりが「やど」を次々に引っ越してゆく姿を、現代社会における国籍や領土などの問題と重ね合わせた。

「昨日の空を思い出す」(2002~)は、グラスの中に注がれた水の中に3Dプリンタを用いて前日の空模様を再現する、飲める彫刻作品である。グラスの中の雲が時間の経過と共にかたちを変え、消えてゆく本作は、日常や自然の儚さやかけがえのなさを想起させ、共有する装置としても機能している。

2022年には、展示エリアである奈義町の空の広さや、山地独特の雲の動きに魅せられ、同地での滞在制作を実施。今回は、滞在時に制作をした写真作品などと共に、実際に雲のドリンクを制作、展示する。また、雲をつくるための液体3Dプリンターは、試行錯誤の末オリジナルで開発されたものである。
主な作品の収蔵先にニューヨーク近代美術館、金沢21世紀美術館など。

会場内パネルより抜粋、一部改変

AKI INOMATA【昨日の空を思い出す】N12-b-b

AKI INOMATA【昨日の空を思い出す】N12-b-1
AKI INOMATA【昨日の空を思い出す】3Dプリンター

AKI INOMATA【昨日の空を思い出す】N12-b-2 製作実演
【昨日の空を思い出す】製作実演

AKI INOMATA【昨日の空を思い出す】N12-b-3 動画
【昨日の空を思い出す】動画による展示

AKI INOMATA【昨日の空を思い出す】N12-b-4 写真
【昨日の空を思い出す】写真

森山未來【さんぶたろう祭り】N11-a/N12-d

森山 未來 Mirai Moriyama

俳優として映画賞を多数受賞。ダンサーとして東京2020オリンピック開会式ではソロパフォーマンスを披露し、京都・清水寺でのパフォーマンス「Re:Incarnation」の総合演出なども担当。

今回、那岐山を望む奈義町シンボルロードで、コミュニティと芸能の関係性を再考するパフォーマンスイベント「さんぶたろう祭り」を開催。さんぶたろうとは奈義町に残る巨人伝説の民話、またその巨人の名である。

会場内パネルより抜粋、一部改変

森山未來【さんぶたろう祭り】N11-a/N12-1-1【さんぶたろう祭り】アーカイブ映像

森山未來【さんぶたろう祭り】N11-a/N12-d-2
森山未來【さんぶたろう祭り】N11-a/N12-d

磯崎 磯 【建築 U アート】 N12-c

磯崎 新 Arata Isozaki

主な受賞歴はヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展日本館コミッショナー金獅子賞(1996)、プリツカー賞(2019)など。

1963年に磯崎新アトリエを設立。ロサンゼルス現代美術館やバルセロナオリンピック競技場、中国河南省鄭州市の都市計画など、さまざまな建築や都市の設計を手掛けた。会場の「奈義現代美術館」は磯崎の設計で、彼が選んだ3組のアーティストのサイトスペシフィック作品と共に建築と芸術の大胆な融合を実現した。また、東日本大震災の被災地を巡回するためのコンサートホール「アーク・ノヴァ」(2011~13)は彫刻家アニッシュ・カプーアとの共働で制作され、高さ18メートル、幅30メートル、奥行き36メートルの赤いポリエステル製エアドームは、移動可能な巨大空間を実現した。

本展では磯崎が手掛けたアートと建築に関わる取り組みを、ドローイングや建築模型、空間写真、インタビュー、展示映像を通じて再展開し、2022年に逝去した磯崎へのオマージュとする。

会場内パネルより抜粋、一部改変

磯崎 磯 【建築 U アート】コンサートホール「アーク・ノヴァ」
磯崎 磯 【建築 U アート】コンサートホール「アーク・ノヴァ」

磯崎 磯 【建築 U アート】映像・写真・設計図
磯崎 磯 【建築 U アート】映像・写真・設計図

磯崎 磯 【建築 U アート】「エンジェル・ケージ」1

磯崎 磯 【建築 U アート】「エンジェル・ケージ」3
磯崎 磯 【建築 U アート】「エンジェル・ケージ」

磯崎 磯 【建築 U アート】「エンジェル・ケージ」2
磯崎 磯 【建築 U アート】「エンジェル・ケージ」パネル

サンドラ・シント N12-a

1990年、ブラジルのテレサ・ダビラ大学センター卒業。ドローイングをひとつの言語の形式と捉え、絵画やインスタレーション、彫刻などさまざまな形態の作品を制作。波の動きや天候、豊かな動植物など、複雑で魅惑的な自然現象にインスパイアされ、イメージを描くだけでなく、音楽や香り、光の移り変わりなど、流動的に変化してゆく空間そのものを芸術と捉えている。 

今回は奈義現代美術館に併設された図書館の談話室にて、奈義町の子どもたちと共同で新作の壁画を制作するプロジェクトと実施。会期中には作家のドローイングが施された家具と、それらを起点としたワークショップを行う。談話室を使う子どもたちがつくりだしたイメージをサンドラが魔法のように豊かに変容させ、それがパーマネントに談話室の空間を満たす。

会場内パネルより抜粋、一部改変

サンドラ・シント【未来のための宇宙論】N12-a-1

サンドラ・シント【未来のための宇宙論】N12-a-2
サンドラ・シント【未来のための宇宙論】

鏡野/奥津エリア

岡山県北部、鳥取県との県境に位置し、鏡野・奥津・上齋原・富の4つのエリアからなる鏡野町。
奥津地域は、鏡野町の中北部に位置し、吉井川の河川沿いに集落が点在しています。美作三湯の一つ奥津温泉があります。

吉井川沿いの渓谷を「奥津渓」と言い、四季を通じて風情に富んだ素晴らしい渓谷美を楽しむことができます。

奥津渓1 奥津渓2

奥津振興センター

国道沿いにある鏡野町役場奥津エリアの拠点。森の芸術祭では鏡野エリアのインフォメーション施設としても利用いただけます。

ジェンチョン・リョウ O14-a

国立台北藝術大学卒業。精巧な職人技を活かし、都市の日常にあふれる機会や乗り物を巧みに模倣し、模倣物とその対象物との曖昧な関係を探求している。鑑賞者は本物のように見えるものが実は精巧に模倣されたものだと気付くプロセスを通じ、対象の背後にある鑑賞者の個人的な物語や、社会的関心を呼び起こそうと試みている。

本芸術祭で発表する「山に響くこだま」(2024)は自然豊かな鏡野町を象徴するヤマセミをモチーフとした高さ6.5メートルにもおよぶ大型彫刻作品で、パブリックアートとして会期終了後も常設される。

また、作品の中にはコブシの木が植えられており、木の成長と共に作品はより自然と一体となっていく。彼の作品は環境に馴染みながら、鏡野町に住む人々や、ここを訪れる人々に忘れてはならない自然からの声を聞かせてくれる。

会場内パネルより抜粋、一部改変

ジェンチョン・リョウ 【山に響くこだま】O14-a-1 ジェンチョン・リョウ 【山に響くこだま】O14-a-2

ジェンチョン・リョウ 【山に響くこだま】O14-a-3
ジェンチョン・リョウ 【山に響くこだま】

けんぞう
カッコイイ…

奥津渓

立石 従寛 Jukan Tateishi O15-a

「跡」(2024)は、名勝、奥津渓における水景と岩場の自然の美を捉え、その形状を再解釈した作品である。立石は現地を訪れ、iPhoneを用いて岩場の3Dスキャンを実施。その中から、本作品から渓流を望んで下流に位置する岩場を選び、3DCGソフトウェアでデフォルメ(低ポリゴン化)することで抽象的な形に再構築した。この形態を鉄と鏡面性アルミ複合板を用いて現実に再起させることで、奥津渓に内在する流れそのものの可視化を試みた。

会場には、山や海の生き物の声が空間に広がっている。ホーンスピーカーや振動スピーカーなど複数種類の発生装置が会場の入り口から作品へと続く遊歩道沿いに配置されている。耳を傾けると、山の生き物の声は奥津渓(吉井川)の上流から、海の生き物の声は下流から聞こえてくる。姿は見えないが、水の流れの先に確かに存在する山や海の風景。本作品は、訪れる者にそれらがひとつなぎになった風景を想像させる。

立石 従寛【跡】O15-a-2立石 従寛【跡】

「森の芸術祭 晴れの国・岡山」概要について

けんぞう

鋭意作成中…

 

レポートは以上です!
他にもいろんな展示会のグッズを紹介しているので見てください~