先日、岡山県で開催されている「森の芸術祭 晴れの国・岡山」に行ってきました!
(「森の芸術祭」の概要については最後にまとめております)
この記事では全ての会場のうち津山エリアについてご紹介してまいります。
津山エリアは作品数が多いため、パート1、パート2に分けて記事を作成しております。
こちらのパート1ではグリーンヒルズ津山・PORT ART & DESIGN TSUYAMA・城東むかし町家(旧梶村邸)・城西浪漫館(中島病院旧本館)・作州民芸館の作品を掲載します!
グリーンヒルズ津山
津山市街地北部、中国山地を望む丘陵地に広がる、緑あふれる25ヘクタールの広大な公園。リージョンセンター、レストラン、地産地消センター「サンヒルズ」、「フラワーガーデン」など、多様な施設があり、地域の交流スペースとして親しまれている。
グリーンヒルズ リージョンセンター。 岡山県津山断酒新生会が行われていました。テーマは「断酒幸福」および「家族は幸せにならんといけんのじゃ!」です。
リージョンセンター内の 北側 宏人「コートの内(うち)」。テラコッタ製。スタイル良っ
エルネスト・ネト【スラッグバグ】G10-a
エルネスト・ネト Ernesto Neto
物質や力、存在など、さまざまなものの間にある関係性を主なテーマとして表現している。作品で使われる素材が生み出す曲線は、重力とバランスがこの関係性をとりもつ媒介的要素となっている特徴のひとつである。
またネトは、ネオコンクリート運動やミニマリズム、アルテ・ポーヴェラなどの前衛運動の歴史を参照しつつ、身体を根源的な政治問題として捉え、私的な作品へと昇華させている。2014年にはブラジルの先住民フニクイン族と共に、儀式やシャーマニズムの伝統を体感することで芸術の交流を試みた。本展ではリサイクル繊維で作られた、かぎ針編みの網が竹の支柱に吊り下げられ、天蓋のように設置されたインスタレーションを展開する。
網は陶器の鉢を包み込み、訪問者は作品の中に入ったり、触れたりすることができる。今回はネトの希望で、作品の中に入るときは裸足で入っていただきたい。会場であるグリーンヒルズの広い空と芝生の上で、ネトの作品は瞑想的な状態へと鑑賞者を誘い、文化的な身体と生命の精神の再接続へと導く。作品の主な収蔵先にポンピドゥー・センター(パリ)、イニョチン(ブラジル)、ニューヨーク近代美術館などがある。
会場内パネルより抜粋、一部改変
わたしは日曜日に行ったのですが、確認すると、下記以外では柵が設けられてその外側からの鑑賞のようです!><
作品体験時間 土日祝の9:00~11:00 13:00~17:00
PORT ART & DESIGN TSUYAMA ポート アート アンド デザイン ツヤマ
大正9(1920)年に竣工した旧妹尾銀行林田支店は平成30(2018)年に芸術文化の創造・発信拠点としてリノベーションをされた。本館・金庫棟・レンガ棟・中庭などがギャラリースペースとして利用されている。
開館時間:午前10時から午後6時まで 休館日:毎週火曜日
志村信裕【beads】T8-b
志村信裕 Nobuhiro Shimura
2007年、武蔵野美術大学大学院映像コース終了。日用品や風景を題材にした映像インスタレーションを基点に、都市の隙間や建築空間に介入する作品を手掛ける。
光を反射しながら漂うビーズヲ映した「beads」は、展示会場を活かすため、プロジェクションによって天井をカラフルに彩り、鑑賞者を迎え入れるとともに、視線を空間のディティールへと向けさせる。
また、かつて金庫だった空間に展示される新作「記憶のために(津山・林野)」では、津山市で150年以上続く写真館に保管されていた9.5ミリフィルムの映像と、現地で新たに作家が撮影した楠の木漏れ日を重ね合わせる。これは書籍の保存のため、本を虫干しする「曝書」と呼ばれる行為から着想。過去の映像に現在の光を当てることで、保管され、止まっていた時は再び動き出す。それはローカルの歴史や資料などの文化資本としての可能性を掘り起こす。
会場内パネルより抜粋、一部改変
志村信裕【beads】T8-b
志村信裕【記憶のために(津山・林野)】T8-b 2
パオラ・ベザーナ 【Una strada lunga(Long Road)】ほか T8-a
パオラ・ベザーナ Paola Besana
ニューヨークでファイバーアーティストの リリー・ブルメナー、カリフォルニア芸術大学でテキスタイルアーティストのトゥルダ・グルモンプリーツに師事。1968年にミラノに定住し、30年以上にわたり、産業用テキスタイルや建築、ファッションなどのテキスタイルのデザインに取り組んだ。
社会的・文化的文脈から発展した「織り」の技術に魅せられ、3次元性を探求した作品を制作。織物の歴史を知ることで創造的な展開が可能になると考え、失われつつある織りの技法の探求と再解釈を行った。また、織り方、素材、色のコントラストや組み合わせによって得られる構造・表現の可能性の模索を通じて、大衆文化、民俗文化と抽象表現を結び付けた。
今回は、木材による構造とテキスタイルを掛け合わせた立体作品「Una strada lunga(Long Road)」や、オリジナルパターンのサンプルやその指示図面などを展示。ベザーナ作品が多様なヴァリエーションによって紹介される日本で初めての機会となる。
会場内パネルより抜粋、一部改変
パオラ・ベザーナ 【Una strada lunga(Long Road)】ほか T8-a
城東むかし町家(旧梶村邸)
江戸時代の終わり元禄時代に建てられた津山城下町の家屋。江戸期の主屋から、戦前の土蔵まで各時代の建物が残されているため町家建築の変遷をたどることができる。
城東むかし町家(旧梶村邸)。明治4年に津山藩から「札元」(今の銀行)を命じられ「藩札」の発行をしていました。それまでは吉井川を行き来していた「高瀬舟」のいろいろな品物を取り扱っていたそうです。
片桐 功敦(あつのぶ)【風土】T9-b
片桐 功敦 Atsunobu Katagiri
華道家、花道みささぎ流家元。米国留学を経て1997年家元を襲名。東日本大震災後の福島を訪れ、原発周辺の地で再生への願いを伝える作品を制作、撮影した「SACRIFICEー未来に捧ぐ、再生のいけばな」を上梓。小さな野草を用いたものから、前衛芸術的なインスタレーションまで作品のスタイルは多岐にわたり、植物が持つ生命力とそれに対する人間の関わり方を、文化人類学的な観点から探求している。
今回の展示では、2024年6月に収穫した津山市産の小麦を大量に使用したインスタレーション作品を、商家であった大型町家の土間空間に展開する。ここでは、食事を提供する釜戸を備えた町家の歴史的空間の土間や土壁、木材といった有機的素材と、弥生時代から日本人が食してきたとされる麦とのコントラストによって植物の有用性とその美を、そして二つの時間軸の相互作用を通じて人と自然との関係を再考し、未来への道筋を探る。また、周辺エリアで採取された植物を用いるいけばなが町家入口で来訪者を迎える。
会場内パネルより抜粋、一部改変
来訪者を迎えるいけばな。会場に片桐氏がお見えだったのでお話を少し伺うことが出来ました。生け花はじきに枯れてしまうため、この後どうするか検討中とのことでした。
片桐功敦【風土】一面に茂る麦穂。
八木 夕菜 【茶徳 / Tea Virtue】T9-c
八木 夕菜 Yuna Yagi
パーソンズ美術大学(ニューヨーク)建築学部卒業。京都を拠点に活動。写真を軸に「見る」という行為を通して多視点から意識の変容を促す作品制作を行っている。
主な受賞歴に京都国際写真祭ポートフォリオレビュー最優秀賞。作品の主な収蔵先に金沢21世紀美術館などがある。今回、八木は岡山県北エリアを訪れる中で、地域で長年愛されている地方番茶「美作番茶(みまさかばんちゃ)」に注目した。小林芳香園で、伝統的工程に立ち会った経験をもとに、茶室の中で美作番茶を取り上げた作品を発表する。
備中出身の臨済宗の開祖である明庵栄西は日本の茶祖とも言われており、彼の記した日本初の茶の専門書「喫茶養生記」の版木が収められている建仁寺に取材に訪れた八木は、禅的な茶の湯とは異なる「喫茶養生記」に見られる民俗学的観点における茶に注目しながら、本作を通じてさまざまな”境界”を超越しようと試みている。
茶室という自己を超越する意識が漂う空間で、異なる時代や土地、文化を超えて、他者や自然や時代と一体となる感覚を提示する。会場内パネルより抜粋、一部改変
八木 夕菜 【茶徳 / Tea Virtue】
城西浪漫館(中島病院旧本館)
1917(大正6)年築の中島病院旧本館。木造2階建てで正面にドームを配し、屋根や窓の細かい装飾が特徴の欧風建築。カフェやギャラリーが併設されている。内部の病室には部屋ごとに異なるデザインの暖炉があり、国の登録有形文化財となっている。
江見正暢(えみ まさのぶ)氏のステンドグラス作品は撮影を忘れてしまっておりました…汗
ビアンカ・ボンディ 【森林浴】T2-a
ビアンカ・ボンディ Bianca Bondi
塩水の結晶化や苔などを生成変化する素材を使い、「変容」をテーマとして場の記憶を取り込みながら物語のある空間を作り出すマルチメディアアーティスト。特に塩水を使ってクリスタルの結晶を生成する化学反応を利用した手法は、ありふれた物体を活性化し、精神的な存在に昇華する。場所と作品が強い結びつきを示すサイトスペシフィックな作品や自身がデザインした壁紙やタペストリー、古家具との組み合わせに焦点を向けた作品も手掛ける。
ボンディは、森林浴などを代表とする、日本が発祥の「森林医学」に着目。今回の展示では、会場であるかつての中島病院と、森林を結びつけるインスタレーション作品を展示する。会場内には、周辺エリアで採取された多種多様なハーブや苔などの植物が配置され、我々はまるで森林の中を歩んでいるかのように、部屋から部屋へと移動する。また、壁面には医療用の容器がアンティークのキャビネットに並べられ、植物と共存する形で展示される。会場の床や天井、壁が森の風景に変わり、空間全体が森の香りに満ちたこの展示は、大正時代の洋館の空間の中でのロマンティックで魔術的な森林浴の体験を提供する。
会場内パネルより抜粋、一部改変
ビアンカ・ボンディ 【森林浴】T2-a
杉浦慶侘氏の写真作品
ルシーラ・グラディン T2-c
ルシーラ・グラディン Lucila Gradin
アルゼンチン国立芸術大学卒業。2011年、ブエノスアイレスの芸術研究センター招聘研究員を経て、現在は女性の治療師、医師、哲学者、生物学者などからなるチームの協力を得ながら、薬草や染料植物を栽培する植物園の管理運営を行っている。植物は染色による色彩、織りなどによる工芸的側面だけでなく医療的、魔術的な側面も持っている。作者はこうした人間の知識の泉として植物を捉え、植物の実験研究を行っている。
「Chromatic Unfolding Ⅱ」と「Goldenrod Tautology」は、実験から得られるさまざまな自然の染料を用いてフェルトやウール、絹などの素材を染色し、それらを刺繍や織りなどの加工を通して表現へと昇華させる。
会場内パネルより抜粋、一部改変
ルシーラ・グラディン T2-c
ウメッシュ・P・K 【点を中心に回転しながら深みへ】T2-d
ウメッシュ・P・K (Umesh P K)
2008年、ハイデラバード大学で絵画の修士課程を修了。神話や表象の歴史、精神世界などに対する関心から、人間の周囲にある自然界をインスピレーションに、すでに失われてしまった人間と自然とを繋ぐ回廊をテーマとした絵画を制作。インド最南部、豊かな生態系を誇る西ガーツ山脈とアラビア海岸岸部に挟まれた細長いケララ州で育った幼少期の体験をベースに、想像上の地理、儀式、神話を絵画的フィクションとして物語る。描く対象は個人的な神話に由来し、突然のヴィジョンとして現れるという。
新作「Moving into the Depth as it Revolves Around a Point(点を中心に回転しながら深みへ)」は、深い森の中心で回転しながら深部に降りてゆく神秘的な渦のイメージが描かれている。自然との深い結びつきを感じさせると同時に、自然の神秘と人間の内面的な探求を融合させ、観る者を未知の深淵へと誘う。
会場内パネルより抜粋、一部改変
ウメッシュ・P・K 【点を中心に回転しながら深みへ】T2-d
「森の芸術祭 晴れの国・岡山」概要について
鋭意作成中…
レポートは以上です!
他にもいろんな展示会のグッズを紹介しているので見てください~
こーゆー作品はぜひ中に入って堪能したいわよさ…