ハマスホイとデンマーク絵画展2020の感想と東京都美術館の休止・返金情報

室内 ヴィルヘルム・ハマスホイ 1899 アート

東京都美術館で2020年1月21日から行われていた 「ハマスホイとデンマーク絵画」展に行ってきました。

「北欧のフェルメール」とも呼ばれるデンマークの巨匠は近年評価が高まりつつあり、2008年にも初来日をして注目を集めました。

そこから10年余りを経て、ハマスホイ作品約40点に加え、19世紀末デンマークの名画を約50点紹介している非常に貴重な展覧会です。

印象派に始まり次々と起こった芸術表現の大変革と一線を画すように、ハマスホイは伝統にもとづく筆致で調和の取れた静謐な空間を描き続けました。

また、同時代のデンマークの画家たちが「日常の喜び」「解放的な生活」「家庭的な親密さ」を気取らずに描いた作品も現代に必要とされる人生を幸福に過ごすためのヒントとして「ヒュゲ」(hygge:くつろいだ、心地よい雰囲気)のキーワードとともに取り上げられています。

注目となる「ハマスホイ」の作品の点数は全展示作品の約半分となりますが、東京都美術館で混雑を避けて作品を鑑賞するために取った「今後も都美術館で使えそうな」方法と、実際の作品の感想をお伝えしたいと思います。

※残念ながら3月13日に新型コロナウイルス感染症予防対策によリ、東京会場は早期の閉幕となっています。山口美術館への巡回予定は4月7日(火)から6月7日(日)です。詳細は以下にて。

【ハマスホイとデンマーク絵画 】展の概要

ヴィルヘルム・ハマスホイ(Vilhelm Hammershøi)

1864年、デンマークのコペンハーゲン生まれ。15歳からコペンハーゲン王立芸術アカデミーに入学。1911年にはクリムトと並び国際美術展で1等を取るなど高い評価を得る。代表的なモチーフとしては美しい構図と調和のとれた色彩で描かれる室内画と、モデルとなっている妻のイーダ・イルステズの後ろ姿がある。

その静謐な室内画が特徴の画風から、「北欧のフェルメール」とも称される。

ちなみに初来日となる2008年時点では、ハマスホイは「ハンマースホイ」と表記されていました。

今回のハマスホイとデンマーク絵画展の詳細は、こちらのリンクもご参照下さい
ハマスホイとデンマーク絵画|展覧会特設ウェブサイト

ハマスホイとデンマーク絵画

「ハマスホイ展」の会期と巡回場所

東京会場
2020年2月26日(水)~ 6月14日(日)
※新型コロナウイルス感染拡大対策のため、3月13日に閉幕決定

山口会場
2020年4月7日(火)~2020年6月7日(日)

東京都美術館 休館のままハマスホイ展閉幕に!

東京都国立近代美術館の公式ページにて、3月末まで3月末までの閉館とそれにともなうハマスホイとデンマーク絵画展の終了が案内されていました。

ハマスホイ展閉幕と返金

ハマスホイ展閉幕 チケット返金に関して(期限注意!!)

東京会場のチケットを購入された方は、こちらで返金についての案内をご確認下さい。4月24日までなのでご注意を…。
ハマスホイとデンマーク絵画|チケットの払い戻しについて

東京会場はいつからいつまで開催だったのか?

東京都美術館での開催期間は1/21~3/26 でしたが、2月28日付の公式サイトにて2/29~3/16までの臨時休館との発表があり、そのままウイルス対策としての休館が延長にすることでついに再開することなく閉幕となってしました。

最も来場者の見込める東京での開催が、わずかひと月あまりという短い開催期間であったことが非常に残念です。

山口県立美術館が遅れることなく開催されることが出来る状況になることを祈るばかりです…

けんぞう
わたしが行ったのは2/26 次の日が実は最終日だったのね…泣

前売り券の事前購入で時間のロスを防ごう

私はチケット窓口の混雑を恐れていたので美術展ナビのチケットアプリで、東京都国立近代美術館で開催中の 「ピーター・ドイグ展」と一緒にチケットを購入していました。

ピーター・ドイグ展の記事はこちらです

ハマスホイとデンマーク絵画入場

東京都美術館 アクセスと開館時間

住所:〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
JR上野駅から徒歩約10分
TEL : 03-3823-6921

開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
※特別展開催中の金曜日:9:30~20:00

休館日 : 第1・3月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)

東京都美術館は朝イチの入館がベスト!

東京都美術館でおすすめの時間帯は、”朝一”の入館です。理由は、東京都美術館の「展示室」のフロア構成にあるのです。

Hammershoi-gate

9時半に開門。隣の上野動物園にも列が出来ていました。

 

Hammershoi-entrance

美術館入口は階段を降りてロビー階(地下1階)へ。

 

Hammershoi-map

右側にある「企画展示室」は、同じ形のフロアがLBF(ロビー階)、1F、2Fと三つの階に分かれています。

 

Hammershoi-EV

ロビー階の入り口からエスカレーターを使用して矢印の順に進んでエスカレーターで1Fへ、また同様に2Fへ…という順路を通りますが、エレベーターで行き来が可能です!

極端に言えば、開館と共にロビーからすぐエレベーターで2Fに行けば、展示場後半に置かれた「目玉」作品を静かに鑑賞するチャンスがありますね^^

 

ハマスホイとデンマーク絵画 作品と感想

会場構成

第一章 日常礼賛 ーデンマーク絵画の黄金期

第二章 スケーイン派と北欧の光

第三章 19世紀末のデンマーク絵画 ー国際化と室内画の隆盛

第四章 ヴィルヘルム・ハマスホイ -首都の静寂の中で

 

第一章 日常礼賛 ーデンマーク絵画の黄金期

1800年から1864年における、デンマーク絵画の「黄金期」と呼ばれる時期の絵画たちが展示されています。
同時代のフランスやドイツとの絵画の潮流との違いは、飾り気のない「市民」のための芸術という点です。

第二章 スケーイン派と北欧の光

「スケーイン」とは、デンマーク最北端の漁師町の名前。首都コペンハーゲンから遠く離れたその町の厳しい自然とそこに暮らす人々の素朴なライフスタイルは、
1880年代以降にデンマーク国民にとっての芸術的な主題としての大きな役割を果たすことになりました。

スケーインを訪れ、影響を受けた芸術家たちは「スケーイン派」と呼ばれ、その作品は活き活きとした日常や友愛のすばらしさを讃えており、
光に溢れた開放的な特徴を持っています。

第三章 19世紀末のデンマーク絵画 ー国際化と室内画の隆盛

1870年代の「印象派」がパリで花開いた頃、デンマークでは伝統にとらわれたアカデミーと芸術家の対立から、画家たちの国際的な交流や創作の革新がおこりました。
特に自宅の室内をテーマにした作品が多く描かれ、「幸福な家庭生活」や「親密さ」といった特徴を持つデンマーク絵画の特徴をかたち作ります。

クレスチャン_モアイェ_ピーダスン_花咲く桃の木_アルル1888

クレスチャン・モアイェ=ピーダスン 【花咲く桃の木、アルル|1888】
ゴッホとイーゼルを並べて描いたとされる画。全く同様のモチーフで【花咲く桃の木、モーヴの思い出】という作品が。

 

ユーリウス・ポウルスン【夕暮れ|1893】

ユーリウス・ポウルスン【夕暮れ|1893】
川内倫子氏の写真のような、ぼかしの気持ちいい夕景。実物をみるとほんとに写真のようで、とっても現代的な印象でした。

 

ギーオウ・エーケン 飴色のライティング・ビューロー 1901

ギーオウ・エーケン 【飴色のライティング・ビューロー|1901】
タイトルがとっても文学チック。光の映り込みがヤバすぎました。

 

第四章 ヴィルヘルム・ハマスホイ -首都の静寂の中で

【背を向けた若い女性のいる室内|1903-04】

ヴィルヘルム・ハマスホイ 【背を向けた若い女性のいる室内|1903-04】
こちらのモチーフとなっているロイヤルコペンハーゲンのパンチボウル(陶器のボウル)と銀色のトレイは、実際にハマスホイの家にあったものとして展示されていました。

 

【スネガスティーンの並木道|1906】

ヴィルヘルム・ハマスホイ 【スネガスティーンの並木道|1906】
独特の質感を持った空間が広がっていました。構図も気持ちが良く、「もっと屋外でも画を描いて欲しいかったなあ…」と思ってしまう。

 

【ロンドン、モンタギュー・ストリート|1906】

ヴィルヘルム・ハマスホイ 【ロンドン、モンタギュー・ストリート|1906】
こちらを含め、ハマスホイの描く屋外の古い建物はしずか~に呼吸をしている感じがします…

 

 

【室内、蝋燭の明かり|1909】

ヴィルヘルム・ハマスホイ 【室内、蝋燭の明かり|1909】
鍵穴からのぞいたような不思議な視覚効果を感じさせる作品。ビデオクリップかショートフィルムのワンシーンのような感覚。

 

ハマスホイ展 グッズと図録

ハマスホイ展のグッズと図録については、東京都美術館の公式ショップと共に記事を書いています!

 

ハマスホイ展公式図録 購入方法も

ハマスホイとデンマーク絵画の公式図録は、会場に行けない方にも購入が可能です!

 

ハマスホイとデンマーク絵画 図録|図録販売専門サイトMARUYODO

 

ハマスホイとデンマーク絵画展の感想と混雑を避けた方法!のまとめ

最後に、ハマスホイとデンマーク絵画展の感想とおすすめ鑑賞方法についてついてまとめます。

  • 「北欧のフェルメール」とも評されるハマスホイの12年ぶりとなる展示会です。
  • ハマスホイ作品約40点に加え、19世紀末デンマークの名画を約50点紹介している非常に貴重な展覧会!
  • 窓口の混雑をさけるなら、事前のチケット購入かオンライン購入をしましょう!
  • 東京都美術館は、フロアが3階に分かれていて行き来が自由!ぜひエレベーターも有効活用しましょう!
  • 前回も評判の高かった、ハマスホイの貴重な来日展示!東京会場の閉幕は残念ですが、山口会場、または図録などでゼヒ作品に触れてみて下さい!

当ブログでは美術館についての記事を書いています。こちらもぜひご一緒に読んでみて下さい!