2019年の5月2日、岡山県立美術館で開催中の【国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア】展に行ってきました。
- 日本でも「ロシアのモナリザ」として人気の高いクラムスコイ「忘れえぬ女(ひと)」あるいは「見知らぬ人」が8年ぶりにやってくる
- 先行で開催していた東京Bunkamuraでは混雑が報告されていた
- ゴールデンウィークの真っただ中
という混雑が予想される最悪の条件下で臨んだのですが、驚くほどに来場者がおらず、ゆっくりと会場内を回覧することが出来ました。
ロマンチック・ロシア展について
国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア展
国立トレチャコフ美術館とは
1892年、美術収集家パーヴェル・トレチャコフからモスクワ市に寄贈されたコレクションと邸宅を始まりとして、現在では年間150万人以上が訪れる、ロシア美術の殿堂。
チャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア」の会期と巡回場所
今回、このトレチャコフ美術館のコレクションから19世紀後半~20世紀初頭に活躍したアーティストの作品が、東京・岡山・山形・愛媛の4都道府県を約1年間に渡って巡回しています。
- 2018年11月23日(金・祝)~2019年1月27日(日)Bunkamura ザ・ミュージアム
- 2019年4月27日(土)~6月16日(日)岡山県立美術館
- 2019年7月19日(金)~8月25日(日)山形美術館
- 2019年9月7日(土)~11月4日(月・休)愛媛県美術館
岡山県立美術館へのアクセスについて
岡山県立美術館の基本情報
- ホームページ:https://okayama-kenbi.info/
- 電話番号:086-225-4800
- FAX:086-226-0648
- 営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)5/31は19:00まで開館
- 休館日:毎週月曜日※月曜日が祝日の場合は開館
美術館へのアクセス
アクセスは、JR岡山駅から東に走る大通り「桃太郎通り」をまっすぐあるいて15分ほどで着きます。
路面電車の「岡電東山線」を利用することもできます。(岡山駅前~西川緑道公園~柳川~城下の4駅ですが)
到着しました。
ロマンティック・ロシア展で「忘れえぬ女」を岡山県立美術館で見た感想
ロマンティック・ロシア展 展示作品
「ロマンティック・ロシア」の意味は?
今回の展覧会に出展される72点の作品は、19世紀から20世紀にかけてのロシア美術を代表する作家たちによるものです。
当時の社会情勢としては、300年続くロシア帝国の支配に対して民衆が自由を求めて立ち上がる動きが次第に活発になっており、日露戦争、第一次世界大戦の敗北がきっかけとなってロシア革命が起こり、史上初の社会主義国家が誕生するという激動の時代でした。
今回の作品は美術の分野でも従来の制約に対する抗議として、人々の生活の美しさや力強さに目を向けた「移動派」と呼ばれるグループのものが中心となっています。
「移動派」が描く激動の時代のロマン
「移動派」はその名の通り、ロシア各地で「巡回美術展」を行いながら、多くの才能を集め、美術的な発展とともにロシア人民の意識の改革にも大きな影響を与えます。
彼らの作品を購入し、活動を支えたのが、のちにロシア屈指の美術館に名前を残したトレチャコフ氏なのです!
ロシアの各地に赴いて民衆の生活の美しさと改革を訴えた絵画が、時代と海を超えていまニッポンを巡回してくれているのだね。
ロシアの原風景が語りかけてくるロマン
いっぽう、そうした社会的な背景とは別に、今回の展覧会で強い印象を鑑賞者に与えるのは、ある種の郷愁を誘うロシアの風景群です。
今回の展示では相当な点数が割かれており、同時代に印象派の流れが起こったヨーロッパ絵画とは違う世界観に感慨ひとしお。
激動の社会が産んだ「移動派」の活動や理念とは一見対極にあるようですが、当時の作家が果てなく広がる風景から情感あふれる作品を数多く生み出していることもまた、画家たちの祖国に対する深い愛の裏と表のような気がするのです。
ロマンティックロシア展 良かった作品と感想
イワン・クラムスコイ 【忘れえぬ女(ひと)】
やはり一番良かったのはクラムスコイの「忘れえぬ女」あるいは「見知らぬ女(ひと)」です。そのミステリアスな眼差しもさることながら、馬車の座席から見つめられているという不可思議な構図、繊細な毛皮の描写など、いつまでも見ていたくなります。
イサーク・レヴィタン 【春、大水】
春は雪どけ水で大水に見舞われるそうなのですが、「春、大水」というタイトルに既視感があって、ぼーっとしてしまいました。
その感覚がちょうど雪どけの緩い陽気の下にいるようで心地良かったです。
他の風景画や、静物画もすごく気に入りました。
イワン・シーシキン 【雨の樫林】
イヴァン・シーシキンは「森の王」という通り名も持つロシア風景画の名匠。光の描かれ方がプリントされた写真に見えてしまう凄まじい感覚。そのわりに、ときどきそこに描かれる登場者が可愛らしいのだよなあ。
グリゴーリー・ミャソエードフ 【秋の朝】
今回の風景画の中で一番見入っていた作品。自分の視点が前景から奥へ奥へと移って行って、そのまま分け入ることが出来そうな気持ちになります。
ロマンティック・ロシア展の限定グッズは、チェブラーシカとのコラボ商品がいっぱい。
カワイイもの好きな日本人にもすっかりおなじみ、ロシアのパペットアニメキャラクター「チェブラーシカ」がPRに一役買っているようです!
チェブラーシカって?
ロシアの絵本「ワニのゲーナ」に登場する、謎の生きもの。
その可愛さから、主人公のゲーナよりも人気を集め、今では世界中の人気者になっています。
フォトスポットでも、「わすれえぬ女(ひと)」とチェブラーシカで3ショット!一緒に馬車に乗ってる感じが良かったなあ(涙)
とてつもない種類のグッズが!これはチェブラー(チェブラーシカファン)泣かせですねえ…
”忘れえぬチェブラーシカ”の人気爆発!?各会場で売り切れが出ているアイテムもあるようです!!
また、マトリョーシカやロシアの伝統工芸、グジェリ陶器も販売していました。グジェリ陶器は白地にひとつずつ手描きで行う鮮やかなコバルトブルーの絵付けが特徴なのですが、独特のチョイスで集まった動物たちのニッコニコの笑顔と上目遣いがラブリーすぎてたまらないです。
ロマンティック・ロシア展 岡山の混雑具合
それにしてもあっけに取られるほど、人が少なかった!!会場内では前半の風景画エリアと「忘れえぬ女(ひと)」前を思う存分スイスイと行き来することが出来ました。
来館者が少なかった理由として、岡山美術館の会期とゴールデンウィークのスタートが一緒(4月27日)で、そこから5日後のゴールデンウィークど真ん中だったことがラッキーな結果を産んだのかな?と思いました。
あと、考えられる要素として、
- そもそもロマンチックロシア展の期待度が高くなかった
(ざっくりな指標ですが、Googleで”フェルメール展”の検索結果数は110万件ですが、”ロマンティックロシア展”だと2万件‥‥) - 岡山はそんなに混雑が起こらない
(単純にアクセス圏内の人口が東京などとは違う。観光で来る人は観光地を優先するだろうし)
という事も挙げられます。
ロマンティック・ロシア展 愛媛の混雑具合(希望的観測)
現在岡山→山形の会期を終え、最後の会場である愛媛県美術館で開催中ですが、SNS書き込みなどを見ていると愛媛県でも混雑なく作品を楽しめるのでは?と思っています!!
11月4日までのチャンスなので、愛媛県にアクセス可能な方はぜひ行かれてみてはいかがでしょうか。(終了しました)
ロマンチックロシア展は愛媛県美術館で公開中です!(終了しました)
愛媛県美術館の基本情報
- ホームページ:愛媛県立美術館
- 電話番号:089-932-0010
- FAX:089-932-0511
- 営業時間:9:40~18:00(入館は17:30まで)5/31は19:00まで開館
- 休館日:毎週月曜日(第一月曜日は開館、火曜日が休館)
※月曜日が祝日・振替休日の場合は開館、翌日休館
※年末年始は12月29日~1月3日まで休館
ロマンティックロシア展 愛媛の料金と会期・休館日について
休館日:
9月9日(月)、17日(火)、24日(火)、30日(月)、10月8日(火)、15日(火)、21日(月)、28日(月)
高大生 900円 (前売券700円)
小中生 600円 (前売券400円)
ロマンティック・ロシア展についてのまとめ
最後に、ロマンティック・ロシア展に行った感想や情報をまとめます。
- 激動の19世紀末~20世紀初頭のロシアを代表する絵画が、約1年間を掛けて日本4都道府県を巡回する特別企画展!
- 目玉となる作品、”ロシアのモナリザ” クラムスコイの「忘れえぬ女」は、評判通りの傑作!30分は観れます!
- 同時代の「印象派」展などとは違い、そこまで知られていないので、混雑のストレスなくたっぷりと鑑賞できた!
- 今まで「ロシア絵画」というジャンルで絵画を鑑賞したことがなかったので、とても新鮮!少し事前知識があると、なおロマンを感じられます!
現在、会場は最後の舞台となる愛媛県美術館!チャンスがある方はぜひ足を運んでみてください!!(終了しました。)
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