栖鳳の時代~匂いまで描く(2021年 京都・嵯峨嵐山 福田美術館) 作品と感想!美術館情報と混雑具合についても

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京都・嵯峨嵐山 福田美術館で2021年3月1日から始まった竹内栖鳳(たけうち せいほう)展 栖鳳の時代 ~匂いまで描く に行ってきました。

横山大観と並び「東の大観、西の栖鳳」とも称される近代日本画を代表する竹内栖鳳の作品20点(初公開作品含む!)を含め、その師弟や同時代に活躍した画家たちの作品を揃えた展示会です。

「動物を描けばその匂いまで描く」と言われた逸話をもとにした展覧会の副題通り、竹内栖鳳の得意とする動物画をはじめとして、迫力のあるサイズ感の屏風絵や大作も多くて満足度が高いものでした。

今回こちらの福田美術館に訪れたのは初めてだったのですが、桂川に面して建てられた小ぶりながらも瀟洒な雰囲気のあるステキな美術館でした!

会期も1ヵ月あまりと短く、中々足を運びにくい方もいらっしゃるかもしれませんが、この記事で展覧会や館内の雰囲気を通じて竹内栖鳳福田美術館に興味を持って貰えればとても嬉しいです!

けんぞう
ちなみに竹内栖鳳はオラの一番スキな日本画家!(←他をあまり知らない)
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2021年 京都 竹内栖鳳展|会期とチケットについて

竹内栖鳳(たけうち せいほう)について

経歴

1864年
  京都の料理屋に生まれる。

1881年 丸山・四条派の流れをくんだ日本画家である幸野楳嶺に師事すると、翌年には「楳嶺四天王」としてその頭角を現す。

1887年 独立後は国内のみならず、 シカゴ万博 パリ万博への出品も行い、高い評価を受ける。

1892年 新たな表現方法を求めて様々な流派の特徴を一枚の絵の中に描き分けた作品を発表、「鵺(ぬえ)派」と批判を受ける。

1900年 ヨーロッパを訪問、 ターナー、コローなどから強い影響を受ける。ここから、西洋の「西」にちなんで雅号を”棲鳳”から”栖鳳”と変える。

1942年 逝去 (享年77歳)

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館内に展示された相関図。師匠や「楳嶺四天王」のメンバー、栖鳳の弟子たちの作品も網羅して展示がされています。

受賞・就任

1909年 京都市立絵画専門学校教授(現・京都市立芸術大学)就任
1919年 帝国美術院(現・日本芸術院)に任命される
1924年 フランス レジオンドヌール勲章
1931年 ハンガリー最高美術賞・ドイツのゲーテ名誉賞
1937年 第1回文化勲章を受章。

福田美術館 竹内栖鳳展 会期とチケット代金

会期
2021年3月1日(水)~ 6月14日(日)
料金
一般・大学生:1,300(1,200)円
高校生:700(600)円
小中学生:400(300)円
障がい者と介添人1名まで:700(600)円
*()内は団体(20名以上)料金・オンラインチケットの料金です

前売り券の事前購入について

現在、美術館をはじめ多くの施設ではオンラインで時間を指定しての事前予約を行っています。窓口や会場内の混雑を避けるため、当日の入場制限などもあり得るため、事前にチケットを購入することを強くオススメします!!

チケット購入は美術館の公式ホームページから簡単に行うことができます^^
リンク:京都・嵯峨嵐山 福田美術館 -FUKUDA ART MUSEUM-

購入した時のQRコード画面は、スクリーンショットを取ってすぐに出せるようにしておきましょう!

京都・嵯峨嵐山 福田美術館 アクセスと開館時間

京都・嵯峨嵐山 福田美術館

住所:〒616-8385 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16

開館時間: 10:00〜17:00(最終入館 16:30)

休館日: 火曜(祝日の場合は翌平日)

公式ホームページ:京都・嵯峨嵐山 福田美術館 -FUKUDA ART MUSEUM-

2021 栖鳳の時代 ~匂いまで描く 作品と感想

けんぞう
ネタバレ!!
展示会の全作品とその解説は、福田美術館の公式ホームページからアクセス可能です!(詳細は下の「グッズと図録」に記載)

作品の展示会場は以下の三章構成となっています。

第1章(1Fギャラリー)/京都画壇の革新

 

【竹内栖鳳|猛虎】
【竹内栖鳳|猛虎】
視線の先には、獲物の代わりに落款と署名があり、栖鳳の遊び心がみられます。絵具の滲みを利用して少ない筆数で描かれてはいるものの、動物の体温や柔らかさがしっかりと感じられ、口元や鼻の湿った様子からは虎の息遣いが伝わってきます。動物画で名を上げた栖鳳の技が光る秀作です。
巨匠となった栖鳳が、横山大観とともに東西画壇の交流の場として設立した淡交会という展覧会に出品した作品です。

 

【幸野楳嶺|韃靼人狩猟図】
【幸野楳嶺|韃靼人狩猟図】
馬に乗り弓矢で狩猟する韃靼人。韃靼(だったん)とは中国明時代のモンゴル系遊牧民・タタール人のこと。
幸野楳嶺は円山・四条派の画家としての実績以上に教育者・指導者として評価された人物です。占い師(観相師)に「あなたは一流の画家にはなれないが、育てた弟子から天下一の絵描きがでる」というマクベス的な予言をされたという逸話が。

【竹内栖鳳|金獅図】
【竹内栖鳳|金獅図】
従来の日本画で獅子と言えば一般的には「唐獅子」を指していました。
栖鳳はヨーロッパから帰国後、明治34年「獅子」と題して写実的なライオンを描き、世間の話題を集めました。本作を含め、同じ趣向の「獅子」の画は複数作成されています。

けんぞう
「西洋の獅子」を当代一の画聖が見てきた!描いた!それを観た人々のオドロキやいかに。

桂川をのぞむ福田美術館
1Fギャラリーを出て、桂川を左手に眺めながら2Fギャラリーへ。

 

第2章(2Fギャラリー) /憧れの栖鳳先生

第2章のテーマは竹内栖鳳の極めた技法としてあげられている「省筆」「余白」の特徴が印象的な作品を中心に展示。
「憧れの栖鳳先生」に師事した弟子たちの作品もあわせて展示しています。

【竹内栖鳳|富嶽】
【竹内栖鳳|富嶽】
省筆の極みといえる技法で雪をまとっった岩肌を浮かび上がらせている富士。
対比させるようにふもとに描かれた青(緑)の美しさに心を奪われます。(現物はもっとみずみずしい色でした!)

はじめて竹内栖鳳の作品に出合った時、描かれた動物の姿と青の美しさにうっとりして、「この画家の名前をおぼえておこう!」と解説のパネルを見て「竹内栖鳳」という雅号の美しさに完全にノックアウトされたことを思い出しました。

【竹内栖鳳|春郊放牛図】
【竹内栖鳳|春郊放牛図】
右隻に近景として、こちらを向いている臨場感あふれる牛の姿。左隻には遠景の牛たちを描き、 西洋の遠近法を金屏風の上に取り入れた栖鳳の意欲作です。
栖鳳は画壇での地位を確立した後も常に新しい挑戦を続けました。

けんぞう
なんとこの大作、初公開作品!そもそも今回の展示会、初公開がすごく多い!!

【竹内栖鳳|水邨驟雨図】
【竹内栖鳳|水邨驟雨図】
中国の水郷を題材とした、最晩年の作品。
「~濡れた木々の緑がひときわ鮮やかで、 湿った空気と風景が見事に溶け合い、彼自身好んだターナーの絵を連想させます」と解説されていましたが。

けんぞう
なんかシャガールの絵本みたいだ」と思いました。

第3章(2Fパノラマギャラリー) /青の部屋

竹内栖鳳の弟子たちの作品から、青(緑)が印象的な作品を選んで紹介。

【竹内栖鳳|海光清和】
【竹内栖鳳|海光清和】
絵絹の裏から海の部分の着色を行い、浮かんでいる舟は表から描かれています。
美しい青のグラデーションと、海に浮かぶ舟の漁師たちの姿を追って、視線が茫洋とした海光の広がる水平線へ導かれます。
日本の伝統的なモチーフを題材としながら、栖鳳独自の遠近法を表現しています。

2021年 京都 福田美術館 竹内栖鳳展の混雑具合と便利品!

福田美術館は基本的に写真撮影OK、SNSにもドンドンのせて!という方針だそうです^^
今回の展示会場でも作品によって写真撮影がOKでした!
(リストを見る限り、美術館所蔵のものはOK、その他はNGのようでした)

小ぶりな美術館ゆえに混雑は避けたいところ!おすすめは朝一

福田美術館は、2019年に生まれた私設の美術館。会場の大きさに関しては有名な美術館などと比べると見劣りすることは否めません。

それに加えて、以下のことを踏まえると混雑時は落ち着いて鑑賞するのはキツいのではないかと。

「撮影が基本OK」
→撮影待ちや取った写真の確認待ちでお互いに気を遣う・シャッター音が気になる

「会場が3つのギャラリーに分かれている」
→ドアを開閉する必要もあるし、順路を迷う方もいます。

「各作品に丁寧な解説がされている(音声&パネル)」
→ありがたいことですが、全体として人の流れは悪くなります

さらに私が落ち着かなかったのは、最初に入った1Fギャラリーの照明がとても暗く感じて、

オススメの動きは朝一入館→階段を上って2Fギャラリーから

嵐山というややアクセスの悪い観光地という立地上、平日朝一番(10:00)でのネット予約と来館がベストなタイミングだと思われます。

そして朝いちばんに入れたら、混雑を極限まで回避する方法として「入口付近の作品は後回しにして次のフロアに進んで一人だけの空間を作る」のがオススメです。

特に福田美術館の順路として、(明るいところから最初に入った部屋だからなのか)1Fギャラリーはとても暗く、縦長で動線がわかりずらく感じました。

2Fギャラリーは余裕を持ったスペースで周回しやすくなっているので、落ち着いて鑑賞、撮影が出来るかと思います。
大型サイズの作品はこちらに展示されているので、周囲に気兼ねなく写真撮影をしたい方は先に撮影を済ませると一安心です。

福田美術館 階段
こちらでまっすぐ進んで階段を上る、が正着ルート!(個人的見解です)

絵画鑑賞の新常識!? 耳栓とサイレントカメラアプリ

朗報! 福田美術館では耳栓を用意してくれているみたいです!!

現在、写真撮影がOKな展示会がとても多くなっているため、会場内でのカメラの使用が日常的になっています。

他の人のシャッターの音が気になる場合は耳栓とかヘッドフォン(音声ガイド)を、スマホのカメラで自分が撮影する場合はサイレントカメラ(無音カメラ・マナーカメラとも)のアプリを使用するのがオススメです^^

ただし、サイレントカメラは画質が悪かったり通常の撮影と規格が変わったりすることがあるのでご注意を!

けんぞう
撮影OKとはいえ画角の占領はだいぶ遠慮してたんだけど、一眼レフ持った新聞社さんが取材に来てたからそれに乗じて存分に撮影できました!!

京都・嵯峨嵐山 福田美術館 グッズと図録 カフェ「パンとエスプレッソと」

オリジナルグッズもアリ!伝統工芸の作品が置かれていたり、「京都土産」としてプレゼントしても喜ばれそうなお洒落感なグッズが多いですね!

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「京都土産」
としてプレゼントしても喜ばれそうなお洒落感なグッズが多いですね!

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イラストレーターやカフェ「パンとエスプレッソと」とのコラボグッズも。

 

図録販売は残念ながらナシ!でもガイドが超充実!(スマホ用イヤホン必携)

こちらの作品リスト2ページ目のQRコードから、全作品の画像とその解説が音声&テキストで確認できます!!
210219_栖鳳の時代_作品リスト_日本語

わたしの記憶に間違いが無ければ、内容は展示会で作品の横に書かれているものと同じかと。

結構図録には展示館の作品紹介に書かれた解説がなかったりして残念なので、個人的にこれはとてもウレシイです!!

もちろん館内で解説を聞きながら鑑賞することも可能。優良のガイドでも全作品を網羅していないので、これはありがたいサービスですね~^^

 

ちなみに、会期が終わるとリンクは次の展示のガイドに切り替わっている模様(過去の展示のリンクを確認しました)。

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今回の展示にちなんだ作品のグッズはありました。福田美術館所蔵作品とかは常時あるかもですが!

けんぞう
ショップとカフェ、あと通販ページもあるので見てみてください~
ミュージアムカフェ&ショップ | 京都・嵯峨嵐山 福田美術館 -FUKUDA ART MUSEUM-

栖鳳の時代 ~匂いまで描く の感想のまとめ

最後に、嵯峨嵐山 福田美術館 竹内栖鳳展の感想についてついてまとめます。

  • 「東の大観、西の栖鳳」とも称される日本画家の天才にして大家!
  •  当時としては異例の西洋訪問の経験から多くを学ぶ(ターナー・コローの影響)
  • 師である幸野楳嶺、「楳嶺四天王」のメンバー、栖鳳の弟子などの作品も!初公開作品多数!!
  • 混雑を避けるため、オンラインでの日時指定購入がおすすめです。
  • 写真撮影&シェアがOK!大型作品は2Fギャラリーに。
  • 鑑賞中に音が気になる方、耳栓が借りられるのでおすすめですよ!
  • 公式図録はありませんが、音声ガイドがとっても充実!スマホで無料で聞けるので、イヤホンを持参しましょう!(レンタルもあります)
  • グッズやカフェ「パンとエスプレッソと」もあります!カフェは今度いってレビューしたいと思います!

松と八ッ橋 嵐山
渡月橋の松と「福」八ッ橋。